児童らの味蕾(みらい)の発達に合わせて

 

 

 

10月20日、上久保小学校で県内で『味覚の授業』が開催されました。
フランスでは毎年10月第3週を「味覚の一週間」として味覚の教育活動が実施されています。日本でも、この時期に同様の授業が広まっており、全国的には多くの学校で開催されているものの今年、県内では初開催。当然、三沢市では初めて開催されたものです。
この日、市内在住の食育インストラクターの伏見憲子さんを講師に招き、上久保小学校の4年生の57名の児童がこの授業を受けました。
はじめに、伏見さんは「黄色のバナナ、緑色のバナナ。どっちが重い?」と児童に質問。児童は悩みながらも「甘味が増えるから黄色!」、「柔らかくなる前だから緑!」と回答。正解は緑で、成熟前の水分が多い状態の方が重いのが原因。これを聞いた児童らの顔はもう真剣そのもの。
その後、伏見さんは嗅覚、視覚、味覚、触覚、聴覚の五感を使って味わうこと、「基本味」には甘味・塩味・酸味・苦味・旨味があり、辛味や渋味は痛覚や温度覚で感じ取る味で基本味とは異なることなどを説明しました。
この後、児童らは鼻をつまんで塩・酢・ビターチョコ・砂糖やダシを味見。鼻をつまんでグミを食べると「鼻から手を放したらグミが美味しくなった!」と嗅覚が味覚に大きく関わっていることを経験。味覚の重要性に気付いた児童らは、授業の最後にコック帽を投げて記念撮影。児童らの表情には、楽しい雰囲気で美味しく学べたことに充実感がありました。


10歳から12歳は舌の味を感じる味蕾(みらい)が最も発達する時期とされており、この時期に大人と同じように味を感じるようになるそうです。
伏見さんは「食への興味が人格形成にも関わってきます。食べ物で自分が形成されていることも理解してほしい」と、この事業を実施した趣旨を語りました。
また、「子どもたちが自分の言葉で味を表現することで味覚が発達します。食生活から短命県・青森を改善するため、子どもの頃からの食の意識を高めたい」と力強く語りました。

 

◆「味覚の一週間」
1990年にジャン=リュック・プティルノー氏とパリのシェフらが「味覚の一日」を開催したことに始まります。当時フランスでは、食文化の乱れが深刻な問題となっていました。次世代を担う子供たちに食文化を伝えようというプティルノー氏の思いを原動力とし、「味覚の一日」は年々その活動をフランス全土へと広げていきました。
1992年には全国民がフランス料理の素晴らしさを発見・学習する場として、一週間にわたって様々な催しが企画、開催される「味覚の一週間」という名称になりました。
現在「味覚の一週間」は政府機関も参画する、国を挙げた「食育」へと成長しています。
今年は、2016年の10月17日(月)~10月23日(日)の期間がこの時期にあたります。