豚流行性下痢(PED)

豚流行性下痢(Porcine Epidemic Diarrhea; 以下PED)は食欲不振と水様性下痢を主徴とする豚の急性伝染病で、家畜伝染病予防法により届出伝染病に指定されています。すべての日齢の豚が罹患しますが、特に若齢豚で症状が重篤化しやすいため、養豚農場や関連施設においては飼養衛生管理を基本とした防疫対策の実施が必要です。 

市民の皆様へ

  • 豚とイノシシがかかる病気であり、水様性下痢が主な症状ですが、ヒトには感染しません。
  • 仮にヒトがその豚肉を食べたとしても、PEDは豚とイノシシがかかる病気であるため、PEDにはかかりません。

農場やと畜場へ出入りする皆様へ

本病の防疫対策は飼養衛生管理が基本となりますので、下記に示す病原体の侵入予防や伝播防止対策をお願いいたします。
 

病原体侵入防止対策
  • 豚導入時に導入豚を2~4週間、隔離・分離するよう工夫し健康状態を観察する。
  • 豚、人、車両、作業器具等の出入りを管理する。
  • 農場の入口等での車両等の洗浄及び消毒を徹底する。
  • 訪問者を受け入れる場合には、農場専用の履物と衣類を準備し、衛生管理区域に立ち入る際にはこれを着用する。
  • 畜産関係施設に出入りする作業員や車両の洗浄及び消毒を徹底する。
  • 野生動物の接触防止対策を徹底する。
  • 未発生の農場や地域に対しての対策も念頭に実施する。
農場間伝播防止対策
  • 出荷豚に異常が見られた場合には当該豚の出荷を停止し、速やかに十和田家畜保健衛生所(電話番号:0176-23-6235)に通報する。
  • 家畜運搬車が複数の養豚農場へ立ち入ることは控える。
  • 食品残渣も含め、屋外に飼料を露出或いは放置させた状態にするなど、野鳥等の野生動物が接触できる状態を作らない。
  • 系列農場間での伝播遮断(行き来するものの洗浄や消毒の徹底、可能な限りの作業員の専従化・資機材や車両の専用化)
  • と畜場、死亡獣畜取扱場、家畜市場、共同糞尿処理場等の畜産関係施設については、立ち入りしたうえで、洗浄・消毒実施状況や荷下ろし作業等での農場間の交差がないか確認及び指導する。
  •   発生農場からの出荷を受け入れると畜場に対しては、洗浄や消毒の徹底、非発生農場と搬入経路や時間を区分するなど、交差汚染のリスク低減措置を講じる。
  • 適切な排せつ物の処理を行う。(完熟、野生動物の接触回避、運搬や散布時の注意)
  • 臨床症状が見られなくなっても飼養衛生管理の徹底によるまん延防止対策及びワクチン接種による哺乳豚の発症阻止や軽減措置を継続する。
農場内拡大防止対策
  • 可能な場合、分娩舎と他の畜舎との衛生管理を分け、分娩舎への病原体侵入防止を図る。
  • 発病豚が確認された場合には、発病豚群を完全に隔離するよう工夫する。
  • 発病豚の保温、自由飲水、電解質投与による脱水症状の緩和で体力保持を図る。
  • 免疫付与の手法として糞便馴致は絶対に避ける。
  • 臨床症状が見られなくなっても飼養衛生管理の徹底によるまん延防止対策及びワクチン接種による哺乳豚の発症阻止や軽減措置を継続する。
  • 適切な排せつ物の処理(完熟、野生動物の接触回避、未完熟堆肥等が飼養豚に接触しないよう管理)
消毒について
  • 豚や排せつ物の運搬車両については、タイヤ周りだけでなく、荷台、運転席マット等を含め、車両全体を念入りに洗浄及び消毒する。
  • 逆性石けん系、アルデヒド系等、有効な消毒薬を対象物に応じて適正濃度、頻度で使用するとともに、消毒前に有機物を除去する。
 ワクチンについて
  • 本病ワクチンを使用する場合は、ワクチンの性質(発症の阻止若しくは軽減、乳汁を介した子豚への免疫付与を目的とする母豚用ワクチン)を十分理解し、用法・用量を遵守して使用してください。
  • 母豚が十分量の乳を分泌しているか、また、子豚が乳を十分に飲んでいるかを確認してください。
  • ワクチン効果を発揮するためには、良好な畜舎環境の維持が前提となりますので、飼養衛生管理を徹底してください。
関係情報

農林水産省 豚流行性下痢(PED)について