多くの人々が主体的にまちづくりに関わる市民提案型条例の制定を目指して

  

6月30日、青森県立三沢航空科学館で『三沢市温泉条例フォーラム』が開催されました。

 

同館の管理運営を行うNPO法人テイクオフみさわは昨年、「三沢市に12カ所ある温泉は三沢市の資源であり、温泉の活用を市民みんなで考えよう」と、『三沢市の資源、温泉を考えよう』事業を企画・提案。市が行う『協働のまちづくり市民提案事業』に採択され、温泉に関するアンケート調査や、家族で温泉に行くと中学生以下は無料になる『温泉の日』の試行などを実施しました。このフォーラムもその事業の一環で、市民が主体となって温泉を活用した事業を行うために必要とする市民提案型条例の制定、またその後の運用に至るまでを学び考えるもの。今年度も『三沢市協働のまちづくり市民提案事業』の一つ、『三沢市の資源、温泉を考えよう PartⅡ』として開催し、より具体的な他市の事例発表や講話、パネルディスカッションをもとに、三沢市で温泉条例を制定するにはどうしたらよいかを学びました。

 

今回、講師を務めたのは、旧江刺市で議員として『江刺地産地消推進条例』を提案し、制定へと導いた元江刺市ふるさと市場生産者組合長の佐藤邦夫氏(現・奥州市議)。そして、『男女協働サロン』と呼ばれるまちづくり計画策定ワークショップを幾度となく開催し、市民が主体となってまちづくりの基本となる条例を制定した牧之原市における取り組みの中心的メンバー、原口氏と坂口氏。講演では、それぞれが取り組んできた市民提案型条例の事例をもとに、苦労した部分や条例制定につながったポイント、意義を感じたことなどを丁寧にわかりやすく伝えました。「条例化することで、予算の確保や事業の推進、関わる人が変わっても続けられるなどのメリットがある」「条例は法律だが、地域おこしや教育にもつながり、多くの人が関わることで必ずいいものができる」といった経験者の言葉に、市内外から集まった24人の参加者は頷きながら要点をメモ。市民や事業者、議員など、それぞれの立場を超えて、まちづくりへの考えを深めていました。

 

続いて、講師の3人に牧之原市の加藤地域政策課長とNPO法人テイクオフみさわの木村監事が加わり、青森中央学院大学専任講師の佐藤氏によるコーディネートでパネルディスカッションを実施。『市民がつくる条例のあり方』をテーマに意見を交わしました。講師を含むパネラーから「行政、市民、事業者がそれぞれだけでは解決できない問題を考える場をつくり、マネージメントできる人材を育てること」「行政を交えながら多くの市民、事業者と何度も議論を交わしていくことが必要」「温泉を中心とした地域全体の活性化につなげる取り組みにするべき」などといったアドバイスを贈られた木村監事。「温泉について語り合う場を何度も設けなければならないと感じました。何年かけても市民主体のいいまちづくり条例を作りたい」と決意した木村監事の言葉には、このフォーラムに参加した参加者の多くが共感したことでしょう。