美しい映像と地域の人々の言葉から、三沢の『遺産』をわかりやすく伝える

 

10月27日、三沢市立図書館で、三沢市の魅力掘り起こしプロジェクト『発掘三沢遺産』が実施されました。

 

これは、市民団体『青森プラスデザインプロジェクト』が、「三沢市の貴重な文化財や歴史、民俗、産業などを掘り起こして次世代に伝えていきたい」と企画・提案し、『三沢市協働のまちづくり市民提案事業』として採択されたプロジェクト。廃線となった十和田観光電鉄三沢駅とその周辺、浜三沢や谷地頭に生きる巨木、遺跡や岡三沢神楽など、姿を変え、忘れ去られつつある『三沢の遺産』の当時の画像を集め、約30分の映像作品を作成、上映しました。現地に足を運び、地道に調査を重ねてきた、写真家でもある同団体メンバーの小沢氏。現地で会った地域の人々との話の中にこそ貴重な情報がたくさんあり、それが一番の収穫だったとのことです。調査取材を続けるうちに、素晴らしい歴史が次々と掘り起こされ、当初15分だった内容は2倍の30分に。それでも「もっと入れたい内容がありました」と小沢氏は悔しそうに話していました。

 

この日に行われた上映は午前・午後の計2回。会場の入り口では、図書館の協力を受けて、三沢の歴史が書かれた貴重な資料を特別公開。さらに『みんなでつくる 三沢市の歴史情報マップ』として、主催者と参加者が会話しながら、その場所の情報やエピソードを張り付けていくコーナーが設けられました。映像を観た参加者は、懐かしそうに目を細めながら小沢氏が語る地域の魅力に耳を傾けていました。

 

今回のプロジェクトを実施した青森デザインプロジェクトのメンバーがこだわっていたのは「三沢の魅力をわかりやすく伝える」こと。単なる資料や教材としてではなく、地域の魅力を映像で伝え、思わず行ってみたいと思えるようなツールを作りたかったとのことです。当時の自然や人々が生き生きと映し出された圧倒的に美しい映像は、三沢に長年勤めた小沢氏をはじめ、専門知識・技術に長けたメンバーが力を合わせたからできたもの。地域の声を聴いて入れられた字幕解説には、地元市民も忘れかけた貴重な情報が詰まっています。同団体によると、この映像は観光面での情報発信や地域の調査研究、さらには医療福祉分野でも回想法(昔の映像を見ながら話をすることで認知症の予防や進行抑制につながるといわれる)や高齢者の交流機会としての使い方が期待できるとのこと。そして、何といっても、わかりやすくまちの魅力を子どもたちに伝える教育分野での活用。同団体代表の小笠原さんは、「『自分のまちはこんなに魅力的なんだ』と感じ、地域に誇りを持つきっかけになれば、少しでも優秀な人材がまちに残ってもらえるかもしれない」とその想いを話していました。