県・国の史跡指定を目指し、地域の人々の理解・関心を求める

 

11月30日、三沢市公会堂の集会室を会場に、三沢市歴史民俗資料館の公開講座第4弾として『野口貝塚の発掘調査報告』が行われました。

 

野口貝塚とは、三沢市役所から北に9.8キロメートル、小川原湖東岸から約100メートル離れた場所にある市内の遺跡。昭和36年、畑の耕作中に土器や石器が多数出土したことで存在が知られ、昭和37年に立教大学と小川原湖民俗博物館、市教育委員会による発掘調査が行われました。その結果、多数の出土品などから縄文時代早期から晩期(約9,000~2,500年前)の各期にわたる遺跡であることがわかったものの、発掘にかかる費用・体制が整わなかったことや早急に発掘しなければならない理由もなかったことから再び埋め戻され長年が経過。しかし、平成22年に地主から当該場所を畑にしたいとの申し出があったことなどをきっかけに、貴重な遺跡は守らなければいけないのではとの考えから県教育委員会とも話し合い、遺跡を部分的に確認する保存目的での発掘調査実施を決定。実質的には今年度から発掘調査が進められています。

三沢市教育委員会では野口貝塚の他にも市内遺跡の発掘調査を行ってきましたが、報告会を開催するのは今回が初めて。今後、5年、10年と長期的に調査を続けながら、毎年、報告会や現地説明会を開催し、地域の共通理解と関心を得、ゆくゆくは国や県の史跡指定を目指したいとのことです。今回の報告会では、三沢市教育委員会生涯学習課の長尾係長と工藤司主事が調査に至った経緯や出土品を約1時間30分にわたり解説。約1万6千年前のナイフ型石器や約1万5千年前の細石刃核、約8,600年前に作られた北日本最古の土偶など、スクリーンに画像を映しながら、これまで発掘調査してきた出土品の発掘時の様子や特徴、貴重性などを詳しく説明しました。また会場には、出土品の実物約80点を展示。考古学や三沢市の歴史に興味関心を抱き集まった36人の参加者は、貴重な出土品に目を見張りながら長尾氏らの解説を熱心に聴いていました。