昔の道具から当時の生活を学び、今を見つめ直す

 

1月23日、六川目地区にある『おらどの家』で、おおぞら小学校の社会科授業が行われました。

 

『おらどの家』とは、六川目地区の一戸実さん宅前にある古民家。一戸さんが子どもの頃から生活してきた家でしたが、敷地内に家を新築してからは小屋兼車庫となっていました。しかし、今から17年前、六川目小学校から依頼を受けて、昔の人々の道具や暮らし、遊びなどを児童たちに教えていた一戸さんは、より多くの道具を伝えるため、地域の仲間たちと協力して旧邸宅を増築・改装。100点を超える昭和初期の道具や衣服などを保管し、当時の暮らし振りを学ぶことのできる場所として生まれ変わらせました。以来、六川目小学校(現在はおおぞら小学校)の児童たちが授業の一つとして毎年のように訪問。今年も、おおぞら小学校3年生の児童24人が『おらどの家』を訪れ、一戸さんから昔のくらしと道具を学ぶ社会科授業を受けました。

 

『おらどの家』に一歩足を踏み入れると、そこは昭和の世界。土間にいろり、昔ながらの家に所狭しと置かれた道具の数々に児童たちは目を輝かせました。そこへ『わらじ』や『みの』、『石臼』、『炉せん』、『手あぶり(現在のストーブ)』、『いずみ(おひつを入れ保温)』など、今は貴重となった昔の道具を次々と見せる一戸さん。事前にイラストや写真などで予習してきた児童たちは、その形状から使い方を予想します。一戸さんから正しい使い方を聞くと、思わずあげる感嘆の声。「昔の人は頭がいい!」「昔のほうが便利に感じる」と児童たちは、昔の人々が厳しい環境と生活の中で生み出してきた工夫する知恵に驚き、感心していました。

 

また、いろりの周りに集まりそのあたたかさを体験する児童たちに、昔の家族の様子を教えた一戸さん。家長をはじめ、家族全員の座る場所が決まっていて、ご飯を食べたり暖を取りながら、その日1日の出来事をみんなで話し合ったこと。喜びも苦しみも分かち合い、時に悪いことをした子どもは家長にしかられることもあったとのこと。「一家団らんの時間であり、子どもたちが家庭で道徳を学ぶ機会でもあったんだよ」。まるで自分の子どものように教える一戸さんの顔を見つめながら、児童たちは時折メモを取り、その言葉に耳を傾けていました。電気やガスも無かった時代、水は無駄のないよう風呂、洗濯、掃除と使い、食べ物も最後の最後まで粗末にしなかったといいます。暮らしが豊かになる一方で、家族や地域の関わりが薄れつつある現代社会において、子どもたちが家族や生活を見つめ直し、工夫すること、ものを大事にすることを学ぶ貴重な時間となったことでしょう。