「先人が作ってきた“三沢の財産”松林を子どもたちに受け継いでほしい」

6月10日、三沢市四川目地区浜通りで、東北森林管理局三八上北森林管理署が主催する記念植樹会が開催されました。

地域守る松林

三沢市の太平洋沿岸と国道338号線の間、三川目から天ヶ森まで南北約24.5キロメートルにわたって生育する松林。海から吹く冷たい北東風(ヤマセ)や飛砂、津波による被害を少しでも防ごうと、明治以降、防風や防砂、防潮など複数の目的で整備されたこの林は、地域に住む多くの人々の生命や財産、暮らしを守り続けてきました。そしてその植林事業には、地元の人々が数多く参加。北東風から苗木を守る衝立を作ったり、肥料や水を撒いたり、病気や害虫、山火事の被害に遭わないようにと地域の人々が見守り育ててきた松林は、三沢市の貴重な財産です。しかし、3年前の3月11日、東日本大震災によって三沢市も被災。多くの松林が津波によって倒されたり、海水の塩害を受け立ち枯れてしまいました。痛々しい姿となった松林を何とか元の姿に戻そうと、三八上北森林管理署は復旧植林事業を開始。企業や団体もこれまでに数多くのボランティア植樹を実施しています。そして今回、三八上北森林管理署では、発注した四川目地区における事業の一部植林の手伝いを地元の三沢小学校児童に依頼。同校の4年生58人と教職員、共催者の三沢市公園緑化公社「緑の募金」活動委員会、後援する市と市教育委員会の担当者、事業受注者の山田建設株式会社社員がこの植樹会に参加しました。

 

受け継がれる松林
子どもたちの祈り、大人たちの願い

植樹作業を前に、松林の歴史や役割、地域との関わりなどを、児童たちへ説明した三八上北森林管理署の佐藤署長。『市の木』や市章の一部にもなるほど大切な存在であることを伝え「木を植えることで松のことを知り、植え、守ることの大切さを将来に伝えていってほしい」と話しました。その後、数グループに分かれた児童たち参加者は、2200平方メートルの用地に約1時間かけてクロマツの苗木500本を植樹。小さな手で一本一本ていねいに一生懸命植える児童の姿に、大人たちは「みんなと一緒に育つ松をまた見に来てね」と声を掛け見守っていました。全ての苗木を植え終わり、太平洋に「松が大きく育ちますように」と手を合わせ祈る児童たち。佐藤署長は「三沢市の先人が作ってきた松林を、ぜひ子どもたちに受け継いでほしい。それが我々の願いです」と話していました。

 

 

 

「広報みさわ」2014年1月号に特集記事『地域守る松林』を掲載しています。