感謝の気持ちを忘れずに育ってほしい

東日本大震災の津波に飲み込まれ、地域をはじめ多くの団体・個人から協力を得て新築工事が進められていた淋代保育所が3月9日に完成。同月12日、園児たちが初めて新たな保育所に足を踏み入れました。

 

新たな保育所が建てられた場所は、元の保育所から坂を上がった淋代地区コミュニティ集会施設の周辺。平屋建てで木の床や柱、白を基調とした壁、共有スペースの高い天井が印象的なつくりの建物は保育する部屋も年代によって3つの部屋に区切られ、それぞれに合わせた保育ができるとのことです。これまで1年間を淋代地区コミュニティ集会施設で過ごしてきた園児たちは、この日の朝、初めて入る真新しい保育所に目を輝かせて本当にうれしそう。とまどったのも最初だけで、飛び跳ねて喜んでいました。

 

引っ越したのは奇しくも東日本大震災からちょうど1年後の3月11日。通っている園児の保護者からなる「母の会」が自ら連絡を取り合い、男性も含めて20数人が駆けつけたとのことです。職員が事前に荷物を仕分けていたこともあり、半日でほとんどの荷物を移動することができ、この日から新しい保育所に子どもたちが通うことができました。

雪降る中を頭にタオルを巻いてトラックに乗る姿に「お母さんの力はすごい」と感じたという森谷所長は、この日を迎えられたことに「新しい保育所を心待ちにする園児たちが一日でも早く通うことができるようにと、保護者をはじめとする地域の方々や施工業者さんから力を尽くしていただき、職員全員が園児を新しい保育所から送り出したいと願い、それぞれに頑張った結果だと思います。心から感謝しています」と話しました。

 

さらに、震災直後は保育所の存続自体が危ぶまれたという1年前を振り返り「1日休んだだけで保育を再開できたのは、集会施設を貸し手伝っていただいた地域の方々のおかげです。その後もこれまで本当に多くの方々から援助をいただいてきました。この子たちには感謝の気持ちを忘れずに育ってほしいです。そして、それは私たちがこれから伝えていかなければならないと思っています」と決意を新たにしました。

 

淋代保育所は現在7人の職員によって26人の子どもたちが保育され、3月22日にはそのうち4人がこの新しい保育所で卒園式を迎える予定です。