三沢の地形の特徴を知り、これからの災害に備える

8月10日、公会堂小ホールで「防災講演会」が開催されました。

 

昨年3月に発生し、太平洋沿岸を中心に甚大な被害をもたらした東北地方太平洋沖地震の大津波によって、三沢市でも2人の尊い命が失われ、三沢漁港をはじめとする多くの施設・家屋などが被害を受けました。市はこの災害を教訓として「災害に強いまち」に生まれ変わるためのさまざまな事業に着手。災害直後から調査と検証を重ね、県の津波シミュレーションに基づく津波避難計画や津波ハザードマップの策定、防災無線難聴地域を改善するため音響調査の実施、自主防災組織設立支援などに取り組んでいます。しかし、防災・減災のためには市や消防だけでなく地域に住む人々が協力することが必要との考えから、皆が共に防災意識を高めるため、専門家による無料講演会を実施。地域の人々が多数参加し、三沢市の地形や地震動の特徴を踏まえながら東北地方太平洋沖地震を振り返り、これからの災害への対応を考えました。

 

この日、講師を務めたのは、弘前大学教育学部の小岩直人教授と同大学大学院理工学研究科の片岡俊一准教授。小岩教授は三沢市の地形の形成過程を追いながら、その特徴を解説。片岡准教授は、過去の地震で測定した市内数カ所のデータから、揺れ方を解析し今後想定される地震の揺れと強さについて説明しました。 小岩教授は自身の研究から、三沢市では何度も海面が上昇・下降することによって「海成段丘」と呼ばれる棚状の丘ができ、その上に火山灰であるローム層が厚く堆積、沿岸では三川目や四川目など水面が上下することで段丘面を侵食した「開析谷」が発達している特徴があるとのこと。また三沢漁港のある場所は「海岸低地」と呼ばれる海抜の低い平地。今回の津波は沿岸部の「開析谷」と「海岸低地」を中心に襲来していると分析しました。また、今後の津波について、沿岸の「開析谷」と「海岸低地」に特に注意が必要と説明しながらも、大きな津波の場合は「海成段丘」の末端や低標高部も危険と指摘。また津波の速度やエネルギーの大きさを説明し「まずは自分の居住地や勤務地、避難所の標高を知っておくことが大切。津波が発生した場合は、より内陸の海成段丘面に避難することが望ましい」と話しました。

 

市ではこの講演会の他にも、国道338号線沿いの集落に住む人々と共に「海抜表示板」を取り付ける事業も行う予定とのことです。