明けましておめでとうございます。昨年中は、市政各般にわたり ご理解、ご協力をいただきまして、誠にありがとうございました。

 本年もどうぞよろしくお願いいたします。

 

1.昨年を振り返って

 昨年を振り返りますと、国難とも言える新型コロナウイルス感染症といった目に見えない新たな問題が世界中で流行し、未曾有の危機に直面する中、国内においても感染者が拡大するなど、経済活動も大きく減速し、市内でも飲食業をはじめとする様々な業種において経済活動の縮小に伴い市民生活に多大な影響を受けたほか、また児童・生徒、保護者の皆様には学校休業に伴う負担の増加など、学校生活にも影響を及ぼしました。

 このような中、子どもたちが楽しみにしていた学校行事の中には残念ながらできなかったものもありますが、運動会や修学旅行など感染予防をしっかりと取ったうえで、時期の見直しや、行き先を変更することで実施することができ、特に学校を卒業される子どもたちには「良き思い出」になったものと「安堵」しております。

 その一方で、本年1月10日に実施予定でありました「令和3年三沢市成人式」について、全国的に感染者が急増している中、県内外からお越しいただき一堂に会することが社会情勢にそぐわないものであり、また何よりも新成人の皆様をはじめ、ご家族や関係するすべての皆様の健康と安全を最優先に考え、昨年12月18日に成人式を延期とする苦渋の決断をいたしました。

 新成人をはじめ、ご家族、関係者には、大変申し訳ない気持ちでいっぱいですが、市といたしましては、新型コロナウイルス感染状況等を踏まえながら、本年8月頃を目途に開催できるよう、可能な限り準備を進めてまいたいと考えております。

 新型コロナウイルス感染症対応につきましては、市では感染症対策として、市立三沢病院駐車場に、発熱のある患者と一般患者との動線を分けて診察を行えるようプレハブ3棟を設置したことや、飲食業者に対する経済支援のほか、児童・生徒並びに市民の皆様の「健康と安全」の確保を図るため、全小中学校及び公共施設に非接触型「体温計測モニター」を設置するなど、3次にわたり緊急対策支援事業を実施いたしました。

 また、季節性インフルエンザと新型コロナウイルス感染症との同時流行及び重症化の予防に向け、生後6カ月から小学2年生までと65歳以上の高齢者などの方々に、インフルエンザ予防接種費用を無償化するなど、感染症対応に奔走した一年でありました。

 そのほか、コロナ禍により社会経済が不安定な状況の中にあって明るい話題もありましたので、ご紹介させていただきます。

 まず、三沢空港において、市民の悲願でもあった三沢―東京線が念願叶って昨年10月25日から18年ぶりに1日3往復から4往復へと「待望の増便」となり、運航を開始いたしました。

 このことは、単に便数が増えたという強みを得ただけではなく、新ダイヤにより来訪者が滞在できる時間が延びたことや、東京からの乗継便の選択肢が増えたことで西日本などへのアクセスが向上し、企業活動や観光交流にも大いに期待が持てるものであり、政策として大きく前進したと思っております。

 次に、全国812の都市を対象に行った「住みよさランキング2020」において、三沢市は北海道・東北ブロックで第7位、青森県内では第1位という大変光栄な評価をいただきました。

 当市の評価の特徴は、アメリカ軍と自衛隊の航空基地の街で多くのアメリカ軍人や軍属、その家族が暮らしているため、異国情緒にあふれていることや、「人口当たりの飲食店数」上位となり、県内では抜群の評価を獲得いたしました。
次に、全国的に少子化の影響により人口減少が進む中、昨年の7月に厚生労働省がまとめた2013年から17年までの人口動態特殊報告で、当市の合計特殊出生率が1.78となり県内で最も高い第1位を記録いたしました。

 これまで少子化対策として、例えば、「中学校3年生までの所得制限のない子供医療費給付事業」など、子育てし易い環境の整備を進めてきたことが成果として表れたものと思っております。

 

2.今年の計画

 今年は、新型コロナウイルス感染症によって社会情勢が不安定な状況で、経済活動等も制限されるなど、大変厳しい中にありますが、令和2年3月に策定した「第2期三沢市まち・ひと・しごと創生総合戦略」は、「共生社会の推進」「関係人口の拡大・創出」「SDGs 持続可能な開発目標の推進」といった新たな視点を取り入れた計画であり、この計画に基づき、引き続き、人口減少問題の克服と、afterコロナ・withコロナの社会構造の変化にも対応した地方創生に繋がる施策を積極的に展開してまいりたいと考えております。

 今年の主な事業といたしましては、1931年 昭和6年 10月4日2人のアメリカ人飛行士がミス・ビードル号に乗り込み、当市淋代海岸から飛立ち、飛行時間41時間10分を掛けて、アメリカ合衆国ワシントン州のウエナッチへ人類初の太平洋無着陸横断飛行の偉業を達成してから「90周年」という節目の年であります。

 この偉業を市民の皆様と共にお祝いするとともに、広く内外へ情報発信しながら、皆様の記憶に残るような事業を実施できればと考えております。

 また、政策面については、公約に掲げた政策の一つとなりますが、「みさわ子どもしあわせ憲章」の制定についてであります。

 次代を担う子どもたちは、かけがえのない宝物です。そして、子どもたちが夢と希望を持ち、健やかに育つことは、私たち市民の強い願いであります。

 子どもたちの元気な声と笑顔あふれるまちを目指し、市民総出で育てていくための指針として、「みさわ子どもしあわせ憲章」の制定に取り組みます。

 次に、三沢市手話言語条例の制定についてであります。

 市では、共生社会の実現に向け、これまで様々な取り組みを実施してきておりますが、その取り組みの一つとして、三沢市手話言語条例の制定を目指しております。

 この条例は、手話がろう者にとって日常生活及び社会生活を営む上で重要な言語であるとの認識に基づき、手話に関する理解の促進及びその普及に関し、基本理念を定め、市の責務並びに市民等の役割を明らかにするとともに、手話に関する市の基本的施策を定め、誰もがお互いを尊重し、支え合う共生社会を目指し、三沢市手話言語条例の制定に取り組みます。

 次に、新生児聴覚検査費用助成についてであります。

 聴覚障害は、早期に発見され適切に支援が行われた場合、聴覚障害による音声言語発達等への影響が最小限に抑えられるとされており、早期発見・早期療育を推進するため、すべての新生児を対象に新生児聴覚検査を実施することが重要であるものと思っております。

 このようなことから、新生児の全員が検査を受けやすくするため、検査費用の全額を公費助成し、子育て支援の一助に努めたいと考えております。

 そのほかでは、三沢東京線の4便体制の維持に向けた事業、あるいは延期となった東京オリンピック・パラリンピックに関連する事業、あおもり10市(とし)大祭典事業をはじめ、子育て支援や教育環境の充実施策、そしてwithコロナにも対応したICTの推進施策など、財政規律を保ちつつも積極的に取り組んでまいりたいと考えております。
 

3.終わりに

 新型コロナウイルス感染症によって私たちの生活様式も一変するなど、不安定な社会経済情勢であります。

 当市においても、感染症対応をはじめ、人口減少問題、少子高齢化、自然災害、基地対策など、様々な課題等があります。

 そのような課題等を市民の皆様の不安を払拭させながら、「健康と安全」を最優先にした市政運営に努めるとともに、第二次三沢市総合振興計画の基本理念「未来へつなぐ 心安らぐ 国際文化都市」の実現に向け、全力で努めてまいりますので、より一層のご支援とご協力を賜りますようお願い申し上げまして、年頭の所感とさせていただきます。
 

 令和3年1月4日

                              三沢市長 小檜山 吉 紀