「制作者のオリジナルが加わり、さらに面白いものができることに期待します」

 

寺山修司没後30年を記念して各種事業を行う寺山修司記念館は、今年8月に開催される三沢まつりで、修司の世界観を取り入れた『テラヤマ山車』の運行を企画。山車のデザインを担当する宇野亜喜良氏が5月16日に三沢市を訪れ、薬師町祭礼委員会の制作担当者と打ち合わせを行いました。

 

日本を代表する挿絵画家でありグラフィックデザイナーの宇野氏は、寺山修司とは舞台や宣伝美術の制作を通じて親交を深めた間柄。記念館から『テラヤマ山車』デザインの依頼を受け、テーマを『人魚姫』に決めました。アンデルセンの童話をもとに寺山修司が書いたこの戯曲は、宇野氏が描く大きな瞳の人魚や魔女など、幻想的な雰囲気と個性的なデザインのキャラクターが印象的。この作品の世界観を大切に、氏が作った山車のイメージ画は独特な雰囲気を見事に再現しています。

氏のイメージ画をもとに山車を制作・運行するのは薬師町祭礼委員会。現在、8月の三沢まつりに向けて『テラヤマ山車』を鋭意制作中です。この日、三沢駅東口付近にある薬師町祭礼委員会の作業場所を訪れた宇野氏に、制作部長を務める大久保光留さんが山車の構造や仕掛け、工程などを説明。制作中の山車本体を目にした宇野氏は、色や制作方法などについて大久保さんとアイデアを出し合い、意見を交わしました。
打ち合わせを終えた宇野氏は「日本的なモチーフや様式に、寺山さんのヨーロッパ的な世界が混在したビジュアルができれば面白いと思います。僕のデザインが完成図ではなく、作る人たちのオリジナルな感覚が加わってさらに面白いものができることを期待しています」とコメント。その後、氏は、寺山修司の元妻で三沢市観光大使を務める九條今日子氏らとともに三沢市役所を訪問し、種市市長に『テラヤマ山車』を説明。種市市長は「いつもと変わった三沢まつりにできれば、見る方にも感動が与えられる。楽しみにしています」と期待を込めたエールを送りました。