海岸の松林は先人の努力で育て守られてきた地域の財産

 

 

 9月10日、おおぞら小学校で出前授業『砂地に緑を』が行われました。

 

地元に素晴らしい資源があることを伝え郷土を愛する心を育むことを目指すこの授業は、同小学校が「人・自然・教育研究所」所長の川村正氏を招いて平成24年度から実施。今年も4年生25人の児童が海岸沿いの松林について学びました。

まず、津波による被害を何度も受けてきた地域の歴史を振り返った川村氏。砂浜にクロマツを植林する事業は、津波などの被害を軽減しようと1932年(昭和7年)から本格的に始まったことを伝えました。この事業は、工事に必要な労働力や資材を住民たちが協力して集めるなど地域全体で推進。住民たちは砂や風からクロマツの苗木を守るため、砂浜に垣を作り日夜見守り続けたとのことです。戦争による物資の不足など、さまざまな困難に遭いながらも途切れることなく植林し続けた先人たちの功績を、児童らは真剣な眼差しで聞いていました。

その後、児童らは雨が降る中、松林へ向かい今も続く植林の現場を見学。津波による塩害で立ち枯れた松の様子や、砂浜に植えられた小さなクロマツの苗木を見て、林の再生には長い年月がかかることを実感していました。

襲ってくる津波に備え、先人たちが苦労しながら育て守り続けてきた松林の歴史を知った児童たち。当たり前の風景として見ていた松林が、住民の暮らしと命を守る地域のかけがえのない財産であることを学んでいました。