『傾聴』『共感』など、思い悩む人に寄り添う知識・技術を学ぶ

 

2月2日、三沢市保健相談センターで、ゲートキーパー養成講習会が開催されました。

 

平成10年以降、国内における自殺者数は毎年3万人を超え、三沢市でも年間10人以上の尊い命が失われています。この状況に、市は民生委員などを対象に講習会等を毎年実施。一人で思い悩んでいる人に気づき、声を掛け、話を聴き、必要な支援につなげ見守る『ゲートキーパー』育成に取り組んできました。そして、昨年度からは、市内に居住または勤務する人を対象とした養成講習会を開催。数回にわたる講義やグループワークによって、ゲートキーパーの役割や活動するために必要な知識・技術を学んでいます。2年目となった今回は35人の申し込みがあり、この日の第1回に32人が参加。臨床心理士の資格を持つ八戸学院大学非常勤講師の瀧澤志穂氏から、ゲートキーパーの役割や対応の仕方を学びました。

 

悩みやストレスを抱えている人が自殺に至るまでには過程があり、早い段階で身近にいる人が気づき、声を掛け、傾聴することが大切と話した瀧澤氏。ゲートキーパーの活動を5つのステップに分けて解説し、「気持ちを受け止めて話を聴くことが最大の支援」と傾聴と共感の重要性を説きました。冷静さを保ちながら相手の気持ちにできるだけ寄り添う『共感』をもって、相手を理解しようと熱心に耳を傾ける『傾聴』。瀧澤氏によれば、傾聴には思い悩む人が自ら既に持っていた答えが見えるようになったり、混乱した気持ちに風穴があいたりするとのことです。さらに、話しを聴くときの心掛けや「死にたい」と言われたときの対応なども伝え、最後には「聴き手となる皆さん自身の心の健康も大切にしてください」と参加者のメンタルヘルスを気遣っていました。時折メモを取りながら熱心に講義を受けた参加者の中には、これまでに身近な人を自殺をなくしたことのある方も。どうしていいかわからなかった当時を思い出し、「自分にできることをしたい」と参加されたとのことでした。この講習会は、今月9日に第2回、12日に第3回を開催。2回以上を受講した参加者には市から修了証が交付され、学んだ知識・技術は市民団体活動や地域で生かされていく予定です。