子どもから高齢者まで集まり交流。地域で育み続ける「あったかい」絆

 

3月8日、塩釜地区農民研修所で、春の神社祭りが開催されました。

町内稲荷神社の御縁日に合わせ、毎年3月上旬の日曜日に行われるこの祭りは、同地区の一大イベント。小学校が統廃合され、地域での催しが途絶えていた9年前に始まり、今年で10回目を迎えました。主催は同地区町内会で、塩釜神楽保存会やおいらせ農協青年部の塩釜支部を中心としたメンバーが協力。前日7日の夜に農民研修所となりの稲荷神社で権現舞を奉納する『宵宮』が行われ、翌8日は同地区住民だけでなく、地域外から親類・友人も駆け付け参加。子どもから高齢者まで約200人が集まり、一緒に演舞や踊り、ゲームなど演目を楽しみました。

地域つなぐ3世代交流

祭りの中で権現舞や鶏舞、盆舞などを演じた塩釜神楽保存会のメンバーは、小さな子どもを含めて現在約20人。伝統ある神楽を絶やさないよう、親から子、兄弟、孫、地域の子どもたちへと継承し続けています。その証に今回の演舞も若者が中心で、この日のために一時帰郷してまで出演。若さあふれる力強い舞いは見る者の心を震わせ、大きな拍手が送られました。また、同地区老人クラブの皆さんも負けてはいません。介護予防の体操や熟練の踊りで健在振りを披露。談笑しながら演目を楽しみ、笑顔を輝かせていました。しかし、何より大人たちの顔をほころばせたのは、子どもたちの元気な姿。ヨサコイソーランを踊り、ゲームを楽しむ子どもたち『地域の宝』に目を細め、愛しんでいました。この地域の子どもたちが通った織笠小学校は、平成17年に現在のおおぞら小学校へ統合。以降、歩いて通学する児童はいなくなり、同じ地域に住んでいても、どこの家の子どもなのか分からなくなったとのことです。そんな中で、毎年開催されるこの祭りは、地域の幅広い世代が一堂に集まる貴重な機会。一人ひとり子どもたちを紹介し、一緒にゲームや餅つき、ビンゴ大会など演目を楽しみながら交流を深めていました。

一方で、大規模災害時に必要となる食料や資機材を備えることもこの祭りの大切な目的。保存食や飲料水の在庫を確保し、発電機や投光機など資機材の所在を毎年確認。東日本大震災が起こった平成23年3月11日には、おおぞら小学校の避難所開設・運営へ大いに役立てられたとのことです。今回は、自主防災会の設立に伴い新たに整備した発電機など備品を使い、町内会役員や神楽保存会の奥さん、農協青年部メンバーが訓練も兼ねて炊き出しを実施。おにぎりや長芋すいとん汁などを作り、子どもたちとついた餅と一緒に参加者全員で味わいました。

伝統や文化を継承しながら、家族も世代も超えて一緒に楽しむ地域の祭り。参加する人々の間には「あったかい」絆がありました。