「挑戦する心」育む航空科学館を泳ぐペンギン

4月28日、青森県立三沢航空科学館内で「飛行ペンギン」が一般公開としての初飛行を行いました。

 

この「飛行ペンギン」は、カーボンロッドの骨格をアルミ製の板やフィルムで覆った全長5.7m・全幅3.3mのボディにヘリウムガスを詰め込み、くちばしと大きな二枚の羽、尾で姿勢を制御しながら空中を自由自在に浮遊するロボット。昨年8月、同館で講演会を行った八戸工業大学の藤澤助教授が「広い航空科学館内を群れでペンギンが泳いだら楽しいのでは」と提案したのをきっかけに、同助教授が監督を務める八戸工大メカトロニクス研究会と三沢航空科学館が10月から共同で開発を進め、2月に浮上テストに成功。約6カ月の開発期間をかけて、この日一般公開できるまでに至ったものです。現在は学生14人で構成される八戸工大メカトロニクス研究会は藤澤助教授と共に、気密性や浮力を得るために材料選定や緻密な計算など完成までに試行錯誤と努力を繰り返し、この前日も深夜まで調整してきたとのこと。その努力の結晶である「飛行ペンギン」は、関係者や多くの来館者が見守る中で銀色に輝く四肢を広げ、優雅に館内を浮遊しました。

 

飛行後、研究会を代表して八戸工業大学の藤田学長に三沢航空科学館の大柳館長からの感謝状が手渡され、藤澤助教授は「子どもたちが科学に興味を抱くよう環境を整えることが大事です。学生が設計開発したこの飛行ペンギンが、地域の方々や子どもたちが科学技術に関心を持つきっかけになれば嬉しいです」と話しました。

 

現在はラジオコントロールで操作されている「飛行ペンギン」ですが、2年後を目途に、センサーと高度なマイコンを組み込んで同館での複数の自立した群飛行を目指すとのことです。