大切な仏沼とオオセッカのために

5月26日、小川原湖水辺広場周辺にて第6回仏沼クリーン作戦が行われました。谷地頭郵便局前駐車場に集合した参加者たちに、主催である「NPO法人おおせっからんど」副理事長の津曲隆信氏より「今日の清掃活動を通して、参加者同士が知り合いになったり、仏沼に関してもっと知るいい機会にしてほしい」と挨拶。その後、参加者全員に日程等の説明がされごみ袋が渡された後、小川原湖水辺公園へと移動して清掃活動を行いました。

 

今回の作戦に参加したのは、主催のNPO法人おおせっからんど、高瀬川河川事務所、そしてボランティアとして米海軍三沢基地航空隊、三沢高校ボランティア部、北里大学サークル、一般の環境ボランティア、市環境衛生課の職員ら合計約50人。

 

海岸沿いや茂みの中など、人目に付きにくいような場所に捨てられていた大量のごみの中でも特に目立っていたのは、明らかに不法投棄されたような粗大ごみの数々。例えば、ポリタンクや車用のエンジンオイルの空き缶、大型の木箱など。力を合わせて拾われた大量のごみは、米軍のトラックに積まれて運ばれ三沢市の清掃センターにて処分されました。また、処分することのできない産業廃棄物等については高瀬川河川事務所が引き取り処分しました。津曲副理事長は仏沼周辺の現状に「清掃活動を重ねるごとに、ごみは減ってきている。仏沼を綺麗にしようという意識が、皆に伝わってきたのではないでしょうか」と話しました。

 

作業を終え、参加者全員で記念写真撮影をした後、希望者を募って開催した仏沼でのオオセッカ自然観察会には、三沢高校ボランティア部の生徒たちが参加。津曲副理事長による説明を受けながら晴れやかな天気の中、和気あいあいとオオセッカ観察会を楽しんでいました。

 

仏沼を繁殖地とする、絶滅危惧種である野鳥オオセッカ。津曲副理事によると「仏沼に来れば、オオセッカを見ることはそう、難しくない」とのこと。実際、この日も観察会が始まってから間もなくして実際に飛んでいるオオセッカを見ることができました。

  

NPO法人「おおせっからんど」は先日、仏沼で初観察された鳥類の記録や東日本大震災による津波被害調査の報告を掲載した「おおせっからんど年報第3号」を発行したばかりです。また、日頃の野鳥生息調査やクリーン作戦などの活動が評価され、環境省などが主催する第66回愛鳥週間「全国野鳥保護のつどい」にて「野生生物保護功労・環境大臣賞」を受賞しました。

 

オオセッカは千葉県の利根川まで南下し足跡を付けているのが確認されており、国内の海岸を飛び石のように渡って飛ぶ鳥なので、海岸沿いが東日本大震災による津波被害で傷んでいる今、その影響を受けてオオセッカがこれから仏沼まで無事に渡ってこれるかどうかが懸念されています。特に、津波によって壊滅的な被害を受けた釜石市の海岸などは、オオセッカが渡ってこれるかどうかわからない状況となっており「おおせっからんど」ではそうした東日本大震災の影響がオオセッカに与える影響を現在調査中とのことです。また、併せて6月中に仏沼で一斉にオオセッカの生息数調査も予定しているとのことです。

 

津曲副理事長とオオセッカの出会いは最近のことではありません。そもそも鳥について関わるきっかけとなったのは、以前、教師をしていた頃に生物の教科を受け持ったこと。そして鳥に興味を持ったのは、鳥を好きだった生徒がいたことがきっかけ。それから、津曲さんは次第にオオセッカへと心が動かされていき現在「NPO法人おおせっからんど」副理事長をするまでに至っています。

 

今後10年、20年先の未来もオオセッカの繁殖を期待している津曲副理事長は言います。「オオセッカを、そしてその繁殖地である仏沼を、地元のたくさんの方々に知ってほしい。オオセッカの一番の繁殖地になっている仏沼で繁殖ができなくなれば、日本のオオセッカが危ない」

 

オオセッカの為に、きれいな仏沼を護っていきたいという「おおせっからんど」の想いは強い。