文学と自然のコラボレーション

この夏で開館15周年を迎える寺山修司記念館では年4回、寺山修司の魅力を発信するために、自然に囲まれた環境を活かしながらさまざまな趣向を凝らしたイベント「寺山修司記念館フェスティバル」を開催しています。今年の「夏」も8月4日と5日、19日を会期として、盛りだくさんの内容で訪れた人々を楽しませました。

 

8月4日には、寺山修司と「牧羊神」で同人だった山形健次郎氏と九條今日子(寺山元夫人)さんを迎え、同館の佐々木館長と寺山修司の青春時代を語るトークショーを開催。詩人でもある佐々木館長に、寺山修司の俳句でどういうものが好きか問われた山形氏は「私に似ていないのが好き。寺山修司の俳句は他の人とは違って故郷の感覚が出ているものが多く、東北・故郷に根差した俳句がある」と話し、寺山修司にまつわる貴重な思い出を語り合いました。

その後は、舞踏家・福士正一氏と岡三沢神楽のコラボレーションが実現。さらには、俳優である三上博史氏がエミ・エレオノーラ(ミュージシャン)さん奏でるBGMのもと、寺山修司の若き日の手紙を情緒豊かに朗読しました。同館では7月29日から開館15周年記念企画展第2弾『帰ってきた寺山修司』展を開催中。この日、三上氏が一部を朗読した手紙・約120点などの資料から寺山修司の青春時代に迫っています。また、屋外スペースには「寺山修司遊びの劇場ムシムシコロコロ・パークJr」として、寺山修司の多彩な表現活動にインスパイアされた木工造形作家・simizzy(シミージー)が作った木製の体験型展示が並び、遊びながらも想像力を巡らせる子どもたちの姿であふれていました。

 

このイベントには毎回、地域の高校生がボランティアで参加しており、今回も三沢高校と六戸高校の生徒が暑さも疲れも感じさせない素敵な笑顔で子どもたちの体験をサポートしました。一方、ステージ横では、地元特産品を使った商品開発を続ける三沢商業高校の生徒がオリジナル商品の「ごぼうアイス」や「ながいもアイス」などを販売。寺山修司が三沢で過ごした青春時代を今に生きる若者たちも、イベントを盛りあげる一役を担いました。