体当たりで自殺を防いできた経験からのメッセージ

1月26日、自殺予防講演会が三沢市公会堂小ホールで開催されました。

 

平成10年以降、国内における年間自殺者は毎年3万人を超え、三沢市でも年間10人以上の尊い命が失われ続けてきました。この状況に、自殺対策基本法制定をはじめ、国や地方自治体や企業、そして地域の個人・団体によるさまざまな自殺予防活動が根強く続けられています。

市ではこれまで毎年、民生委員など地域の人々を対象に講習会を実施。一人で思い悩んでいる人に気付き、声を掛け、話を聞いて、必要な支援につなげ見守る「ゲートキーパー」と呼ばれる人材の育成に努めてきました。しかし、より多くの支援者が必要と考えた市は、平成23年度には対象を拡大。企業や商工会などにも声をかけ、この平成24年度は、身近な隣人である家族や友人の変化に気づいてもらうため、一般個人を対象として自殺を予防するための知識や心構えを養う講演会を実施したものです。

 

講演会の講師を務めたのは、NPO法人「心に響く文集・編集局」の代表・茂幸雄氏。警察官を定年まで勤めた後、福井県・東尋坊を毎日ボランティアで見回り、自殺を目的に訪れる人々の話を真剣に聞きながら8年間で400人以上の命を救ってきた氏は、『死んだらアカン!命の灯台・東尋坊からのメッセージ』と題し、これまでの経験や自殺予防への考え方を力強く講演。「(命を救えなかった事例では)自殺を考える人の叫びが届いていない。大事なのは本人の話を聞くこと。再出発するまでの支えになってほしい」と、悩む人の話を聞くことを強く訴えかける講演内容に、集まった多くの人々は熱心に聞き入っていました。

 

また、この講演会開催前に市は、自殺予防につながる標語とイラストを募集。この日、「悩みを一人で抱え込まないように」「命を大切にしてほしい」などのメッセージを込め応募された標語176点、イラスト85点が会場入口に展示され、選考による入賞者に表彰状と特産品などの副賞が贈られました。これらの入賞作品は、今後、市の自殺予防啓発に活用されるとのことです。

 

誰もがなり得る心の病。市をはじめ多くの相談窓口が開設されています。正しい理解と関心を持って、家族や職場、友人など大切な人の、そして自分の命を守りましょう。