○三沢市中小企業振興条例

平成27年12月21日

条例第44号

豊かな自然と貴重な文化、歴史を有する三沢市は、縄文時代から脈々と続く営みの中で、江戸時代には南部藩の「木崎の牧」が広がり、明治5年には「日本初の民間洋式牧場」が開牧され、昭和6年には「世界初の太平洋無着陸横断飛行の出発地点」となり、また、三沢基地が所在することで、戦後は、米軍人ばかりではなく、全国から多くの人々が集い、特有の経済構造や文化、食、景観などを形成し、異国情緒あふれるまちとして発展してきました。

現在は、上北地方の中核的な役割を担い、三沢駅、三沢空港などの交通拠点や、多様な地域資源を有する、活力と未来への発展の可能性を持ったまちでありますが、近年の人口減少、少子高齢化の進展などにより地域内での需要は減少傾向にあり、さらには、経済のグローバル化の進展による競争の激化等もあり、今後、本市が持続可能な経済構造を構築していくためには、各種施策を着実に推進していくことが望まれます。

このような中にあって、市内企業の大多数を占める中小企業は、地域経済や市民の雇用を支えるとともに、地域に根差した事業活動を通じてまちづくりに貢献し、地域社会の担い手として、本市の発展と市民生活の向上に大きく寄与してきたところであります。

そして、今後においても、中小企業が本市の発展を牽引する重要な役割を担っていくためには、社会全体で中小企業の振興に関する施策を推進することが必要不可欠であります。

中小企業の振興を市政の重要な柱として位置付け、地域経済を活性化し、豊かで暮らしやすいまちの実現に寄与するため、ここに、この条例を制定します。

(目的)

第1条 この条例は、三沢市の中小企業の振興に関し、基本理念を定め、市の責務、中小企業者等、中小企業団体、大企業者及び金融機関の役割並びに市民の協力を明示するとともに、市の中小企業の振興に関する施策の基本方針を定めることにより、中小企業の振興に関する施策を、三沢市の特性を取り入れながら総合的に推進し、もって地域経済の活性化及び市民生活の向上に寄与することを目的とする。

(定義)

第2条 この条例において、次の各号に掲げる用語の意義は、当該各号に定めるところによる。

(1) 中小企業者 中小企業基本法(昭和38年法律第154号)第2条第1項各号に定める者でその主たる事務所又は事業所を市内に有するものをいう。

(2) 中小企業者等 中小企業者及び中小企業者が加入する事業協同組合、企業組合、官公需適格組合その他これらに類する団体をいう。

(3) 中小企業団体 商工会その他これに類する中小企業の振興に関する団体で中小企業者等を支援するものをいう。

(4) 大企業者 中小企業者以外の会社及び個人でその主たる事務所又は事業所を市内に有するものをいう。

(5) 金融機関 銀行、信用金庫、信用協同組合その他金融業を行う機関をいう。

(基本理念)

第3条 中小企業の振興は、次に掲げる基本理念にのっとり推進するものとする。

(1) 中小企業者等の創意工夫と自主的な努力のもとに、その推進を図ること。

(2) 中小企業に関わるすべての者が協働の精神で、それぞれの責務、役割等を認識し、その推進を図ること。

(3) 地域内の経済循環に努め、持続的な地域社会の構築を図ること。

(市の責務)

第4条 市は、前条に定める基本理念にのっとり、中小企業の振興に関する施策を総合的に推進しなければならない。この場合において、中小企業者等の実態を把握するとともに、中小企業者等及び中小企業団体の意見を聴き、適切に施策の推進に反映するよう努めなければならない。

2 市は、中小企業の振興に関する施策の推進に当たっては、国、青森県、中小企業者等、中小企業団体、大企業者、金融機関及び市民の連携を促進するよう努めなければならない。

3 市は、工事の発注、物品及び役務の調達等に当たっては、予算の適正な執行並びに透明かつ公正な競争及び契約の適正な履行の確保に留意しつつ、中小企業者等の受注の機会の確保に努めなければならない。

(中小企業者等の努力)

第5条 中小企業者等は、経済的社会的環境の変化に即応してその事業の成長発展又は持続的発展を図るため、自主的に経営の革新、経営基盤の強化及び取引条件の向上に努めるものとする。

2 中小企業者等は、自らが地域経済の基盤を形成していることを認識し、従業員の福利厚生の充実をはじめとする雇用環境の整備、雇用の維持及び創出並びに人材の育成に努めるものとする。

3 中小企業者等は、地域社会を構成する一員としての社会的責任を自覚し、地域社会との調和を図り、及び暮らしやすい地域社会の実現に貢献するよう努めるものとする。

4 中小企業者等は、事業活動を行うに当たっては、市内における連携を重視し、市内において生産され、製造され、又は加工された物品を取り扱い、及び市内で提供されるサービス等を利用するよう努めるものとする。

5 中小企業者等は、市が実施する中小企業の振興に関する施策に協力するよう努めるものとする。

(中小企業団体の役割)

第6条 中小企業団体は、中小企業の振興に関する施策に主体的に取り組み、暮らしやすい地域社会の実現に貢献するよう努めるものとする。

2 中小企業団体は、中小企業者等の経営の革新及び創業する者の育成に向け、指導し、及び支援するよう努めるものとする。

3 中小企業団体は、中小企業者等の組織化、中小企業者等の相互の連携並びに中小企業者等、大企業者及び金融機関の連携を促進するよう努めるものとする。

4 中小企業団体は、市が実施する中小企業の振興に関する施策に協力するよう努めるものとする。

(大企業者の役割)

第7条 大企業者は、地域社会を構成する一員としての社会的責任を自覚するとともに、中小企業者等が自らの事業活動の維持及び発展に欠くことのできない重要な存在であることを認識し、中小企業者等との連携に努めるものとする。

2 大企業者は、事業活動を行うに当たっては、市内における連携を重視し、市内において生産され、製造され、又は加工された物品を取り扱い、及び市内で提供されるサービス等を利用するよう努めるものとする。

3 大企業者は、中小企業の振興が地域経済の活性化において果たす役割の重要性を認識し、市が実施する中小企業の振興に関する施策に協力するよう努めるものとする。

(金融機関の役割)

第8条 金融機関は、中小企業者等が経営の革新や経営基盤の強化に取り組むことができるよう、円滑な資金の供給、経営相談等の支援により、中小企業の振興に協力するよう努めるものとする。

(市民の理解と協力)

第9条 市民は、中小企業の振興が地域経済の活性化及び市民生活の向上において果たす役割の重要性を理解し、その発展に協力するよう努めるものとする。

2 市民は、消費者として、市内において生産され、製造され、又は加工された物品を消費し、及び市内で提供されるサービス等を利用するよう努めるものとする。

(施策の基本方針)

第10条 市は、中小企業者等の振興に関する施策の推進に当たっては、次に掲げる事項を基本として行うものとする。

(1) 中小企業者等の経営の革新及び創業の促進を図ること。

(2) 中小企業者等の経営基盤の強化の促進を図ること。

(3) 中小企業者等相互の連携並びに市、中小企業者等、中小企業団体、大企業者、金融機関及び市民の連携の促進を図ること。

(4) 地域資源の利活用による産業の活性化及び新事業創出の促進を図ること。

(財政上の措置)

第11条 市は、中小企業の振興に関する施策を推進するために必要な財政上の措置を講じるよう努めるものとする。

(振興会議の設置及び所管事務)

第12条 中小企業の振興に関する施策を調査審議するため、三沢市中小企業振興会議(以下「振興会議」という。)を設置する。

2 振興会議は、次に掲げる事項を所管する。

(1) 中小企業の振興に関する施策に係る市長の諮問を受け、審議及び答申を行うこと。

(2) 中小企業の振興に関する施策について、市長へ意見を述べること。

(振興会議の組織)

第13条 振興会議は、市長が任命する委員16名以内をもって組織する。

2 委員の任期は、2年とする。ただし、補欠委員の任期は、前任者の残任期間とする。

(実施状況の公表)

第14条 市は、毎年度、中小企業振興に関する事業の実施状況を取りまとめ、公表するものとする。

(委任)

第15条 この条例に定めるもののほか、この条例の施行に関し必要な事項は、規則で定める。

(施行期日)

1 この条例は、公布の日から施行する。ただし、第12条及び第13条の規定は、平成28年3月1日から施行する。

(経過措置)

2 この条例の施行後最初に任命される振興会議の委員の任期は、第13条第2項の規定にかかわらず、平成30年3月31日までとする。

(三沢市中小企業振興条例検討委員会条例の廃止)

3 三沢市中小企業振興条例検討委員会条例(平成26年三沢市条例第23号)は、廃止する。

(特別職の職員で非常勤のものの報酬及び費用弁償に関する条例の一部改正)

4 特別職の職員で非常勤のものの報酬及び費用弁償に関する条例(昭和31年三沢市条例第17号)の一部を次のように改正する。

〔次のよう〕略

三沢市中小企業振興条例

平成27年12月21日 条例第44号

(平成28年3月1日施行)