○三沢市障がいのある人もない人も幸せに暮らせる共生のまちづくり条例

令和2年2月25日

条例第9号

目次

前文

第1章 総則(第1条―第6条)

第2章 障がいのある人の権利の尊重

第1節 差別等の禁止(第7条・第8条)

第2節 差別に対する相談体制(第9条―第12条)

第3節 三沢市障がい者差別解消調整委員会(第13条・第14条)

第3章 共生社会実現に向けた取組

第1節 理解促進(第15条・第16条)

第2節 情報の取得、意思決定及び意思疎通(第17条―第20条)

第3節 自立と社会参加(第21条・第22条)

第4章 雑則(第23条)

附則

全ての市民は、等しく基本的人権を享受するかけがえのない個人として尊重されるものであり、市民一人ひとりが、障がいの有無にかかわらず、自分らしく豊かに生き、幸福を追求する権利を有しています。

本市では、障がいのある人もない人も、お互いを理解し、支え合い、安心して暮らすことができる地域社会の実現に向け、様々な施策の充実を図ってきました。

今後は、これまでの施策をさらに進展させるとともに、市、事業者及び市民が、障がいのある人との相互の理解と協力により、教育、就労、医療、情報、移動等様々な場面において依然として存在する社会的障壁をできる限りなくしていくとともに、障がいへの差別や偏見のないまちづくりを目指します。

そのため、障がいのある人に対する合理的配慮の提供や、障がいを理由とする差別の禁止等の理念が市民一人ひとりに根付き、障がいのある人が自ら意思決定し、伝えられるよう、市、事業者及び市民が支援することによって、誰もが安心して暮らし、幸福を追求することができる共生社会の実現を目指し、ここに三沢市障がいのある人もない人も幸せに暮らせる共生のまちづくり条例(通称「共生のこころ育む条例」という。)を制定します。

第1章 総則

(目的)

第1条 この条例は、障がい及び障がいのある人に対する市民の理解を深めるとともに、障がいを理由とする差別の解消について基本理念を定め、市、事業者及び市民の責務を明らかにし、合理的配慮の提供等の障がいを理由とする差別の解消のための施策を推進することにより、障がいのある人もない人も互いに支え合い、安心して暮らし、幸福を追求することができる共生社会の実現を図ることを目的とする。

(定義)

第2条 この条例において、次の各号に掲げる用語の意義は、当該各号に定めるところによる。

(1) 障がいのある人 身体障がい、知的障がい、精神障がい(発達障がいを含む。)その他の心身の機能の障がい(以下「障がい」という。)がある者であって、障がい及び社会的障壁により継続的に日常生活又は社会生活に相当な制限を受ける状態にあるものをいう。

(2) 障がいを理由とする差別 障がい又は障がいに関連する事由を理由として、直接的なものであると間接的なものであるとにかかわらず不当な差別的取扱いをすることにより、障がいのある人の権利利益を侵害することをいう。

(3) 社会的障壁 障がいのある人にとって日常生活又は社会生活を営む上で障壁となるような社会における事物、制度、慣行、観念その他一切のものをいう。

(4) 合理的配慮 障がいのある人から現に社会的障壁の除去を必要としている旨の意思の表明があった場合において、その実施に伴う負担が過重でない場合に、当該障がいのある人の権利利益を侵害することとならないよう、障がいの状態に応じて講じられる適切な配慮及びその性別、年齢、国籍等を理由として特に困難な状況が生じている場合に講じられるより一層の配慮をいう。

(基本理念)

第3条 共生社会の実現に向けた取組は、次に掲げる事項を基本として行われなければならない。

(1) 障がいのある人もない人も、等しく基本的人権を享有する個人として尊重されるものであること。

(2) 障がいのある人が、不当な差別的取扱いによって、その権利利益が侵害されないこと。

(3) 障がいのある人が、住み慣れた地域において、安心して暮らし、幸福を追求することができるよう、合理的配慮の提供がなされること。

(4) 障がいのある人が、地域社会を構成する一員として、あらゆる分野の社会活動に参加することで、自らの人生を主体的に豊かにしていく機会が確保されること。

(5) 市民一人ひとりが、障がい及び障がいのある人に関心を持ち、理解を深めることができるよう、普及啓発が行われること。

(6) 誰もが互いに意思を伝え合い理解し合えるよう、障がいのある人に対する言語(手話を含む。以下同じ。)その他の意思疎通のための手段について選択の機会が確保されるとともに、情報の取得、意思決定及び意思疎通のための手段について選択の機会の拡大が図られること。

(市の責務)

第4条 市は、前条に規定する基本理念(以下「基本理念」という。)にのっとり、障がい及び障がいのある人に対する市民の理解を深めるとともに、障がいを理由とする差別(社会的障壁の除去を実施するための合理的配慮をしないことを含む。以下同じ。)を解消し、並びに障がいのある人の権利を尊重するために必要な施策を策定し、及びこれを実施するものとする。

2 市は、前項に規定する施策を実施するために必要な財政上の措置を講ずるように努めるものとする。

(事業者の責務)

第5条 事業者は、基本理念にのっとり、障がい及び障がいのある人に対する理解を深め、市が実施する施策の推進に協力するものとする。

(市民の責務)

第6条 市民は、障がいの有無にかかわらず、基本理念にのっとり、障がい及び障がいのある人に対する理解を深めるとともに、市が実施する施策及び事業者が実施する共生社会の実現に向けた取組の推進に協力するよう努めるものとする。

第2章 障がいのある人の権利の尊重

第1節 差別等の禁止

(不当な差別的取扱いの禁止)

第7条 市、事業者及び市民は、不当な差別的取扱いをすることにより、障がいのある人の権利利益を侵害してはならない。

(合理的配慮の不提供の禁止等)

第8条 市、事業者及び指定管理者(地方自治法(昭和22年法律第67号)第244条の2第3項に規定する指定管理者をいう。以下「指定管理者」という。)は、障がいのある人が適切に意思の表明をできるよう、障がいの特性に応じた配慮をしなければならない。

2 市は、その事務又は事業を行うに当たり、障がいのある人から現に社会的障壁の除去を必要としている旨の意思の表明があった場合は、合理的配慮の提供をしなければならない。

3 事業者は、その事業を行うに当たり、障がいのある人から現に社会的障壁の除去を必要としている旨の意思の表明があった場合は、合理的配慮の提供をするよう努めなければならない。

4 市の設置した公の施設の指定管理者は、その事業を行うに当たり、障がいのある人から現に社会的障壁の除去を必要としている旨の意思の表明があった場合は、合理的配慮の提供をしなければならない。

第2節 差別に対する相談体制

(相談)

第9条 障がいのある人及び当該障がいのある人の家族その他関係者(以下「障がいのある人等」という。)は、市に対し、障がいを理由とする差別に関する相談をすることができる。

2 市は、障がいのある人等から前項の規定による相談を受けたときは、必要に応じて次に掲げる対応を行うものとする。

(1) 障がいのある人等及び当該相談に係る事案(以下「相談事案」という。)の関係者への事実の確認及び調査

(2) 障がいのある人等及び相談事案の関係者への相談事案の解決に必要な説明及び助言

(3) 関係行政機関との連絡調整

(4) 前3号に掲げるもののほか、障がいを理由とする差別を解消するために必要な対応

(助言又はあっせんの申立て)

第10条 前条第1項に規定する相談をした障がいのある人等は、同条第2項の規定による対応が行われてもなお相談事案が解決されないときは、市長に対し、当該相談事案を解決するために必要な助言又はあっせんを行うべき旨の申立てをすることができる。ただし、当該障がいのある人の家族その他関係者が助言又はあっせんを行うべき旨の申立てをしようとする場合において、当該申立てをすることが当該障がいのある人の意に反することが明らかであるときは、この限りでない。

(助言又はあっせん)

第11条 市長は、前条の規定による助言又はあっせんの申立てがあった場合は、調整委員会(第13条に規定する調整委員会をいう。以下この条において同じ。)に対し、助言又はあっせんを行うことの適否について審議を求めるものとする。

2 調整委員会は、前項の助言又はあっせんを行うことの適否を判断するために必要があると認めるときは、当該申立てに係る相談事案の関係者に対し、調整委員会への出席を求めて説明若しくは意見を聴き、又は資料の提出を求めることができる。

3 市長は、調整委員会からの答申を受け、助言又はあっせんを行うことが適当であると認めたときは、当該申立てに係る相談事案の関係者に対し、助言又はあっせんを行うものとする。

(勧告)

第12条 市長は、前条第3項の規定により助言又はあっせんを行った場合において、障がいを理由とする差別を行ったと認められる者が、正当な理由なく当該助言又はあっせんに従わないときは、当該助言又はあっせんに従うよう勧告することができる。

第3節 三沢市障がい者差別解消調整委員会

(設置)

第13条 第11条の規定によりその権限に属させられた事項を処理するため、三沢市障がい者差別解消調整委員会(以下「調整委員会」という。)を置く。

(調整委員会の組織等)

第14条 調整委員会は、市長が任命する委員11名以内をもって組織する。

2 委員の任期は、2年とし、再任を妨げない。ただし、委員が欠けた場合における補欠の委員の任期は、前任者の残任期間とする。

3 委員は、職務上知り得た秘密を漏らしてはならない。その職を退いた後も、同様とする。

第3章 共生社会実現に向けた取組

第1節 理解促進

(啓発活動の推進)

第15条 市は、障がい及び障がいのある人に対する市民の理解を深めるための広報その他の啓発活動を推進するものとする。

(交流の機会の確保と推進)

第16条 市は、障がいのある人もない人も相互に理解を深めることができるよう、社会活動、教育、スポーツ、文化、芸術等において、交流の機会の確保と必要な取組の実施に努めるものとする。

第2節 情報の取得、意思決定及び意思疎通

(情報の取得、意思決定及び意思疎通における支援)

第17条 市は、障がいのある人が容易に情報の取得、意思決定及び意思疎通をすることができるようにするため、必要な支援を行うものとする。

(障がいのある人に配慮した情報の提供)

第18条 市は、障がいのある人が情報を速やかに得ることができるよう、言語、文字の表示、筆記、点字、平易な表現その他の障がいの特性に配慮した手段等による情報の提供を行うよう努めるものとする。

(意思疎通の手段の普及)

第19条 市は、言語、文字の表示、筆記、点字、平易な表現その他の障がいの特性に応じた多様な意思疎通の手段の普及に努めるものとする。

(意思疎通支援者の養成等)

第20条 市は、障がいのある人の手話、点字、要約筆記その他の方法による意思疎通及び情報の取得を支援する者の養成並びに技術の向上のために必要な取組を行うものとする。

第3節 自立と社会参加

(就労及び雇用への支援等)

第21条 市は、関係機関と連携し、障がいのある人の就労が促進されるよう、障がいのある人が必要とする就労に係る相談を受け、及び支援を行うものとする。

2 市は、関係機関と連携し、事業者が障がいのある人の障がいの特性を理解し、障がいのある人の雇用の機会を広げるために必要な支援を行うものとする。

(移動手段等に対する支援)

第22条 市は、障がいのある人の自立又は社会参加の促進のため、公共交通事業者その他の関係者と連携し、障がいのある人が安全で快適に利用できる交通手段の提供及び道路環境の整備が行われるよう支援に努めるものとする。

第4章 雑則

(委任)

第23条 この条例に定めるもののほか、この条例の施行に関し必要な事項は、規則で定める。

(施行期日)

1 この条例は、令和2年4月1日から施行する。

(特別職の職員で非常勤のものの報酬及び費用弁償に関する条例の一部改正)

2 特別職の職員で非常勤のものの報酬及び費用弁償に関する条例(昭和31年三沢市条例第17号)の一部を次のように改正する。

〔次のよう〕略

三沢市障がいのある人もない人も幸せに暮らせる共生のまちづくり条例

令和2年2月25日 条例第9号

(令和2年4月1日施行)

体系情報
第8編 生/第1章 社会福祉/第4節 心身障害者福祉
沿革情報
令和2年2月25日 条例第9号
令和5年9月22日 条例第27号